シャープのTwitter、このタイミングで新卒採用を告知するという激ムズな仕事を神がかり的にうまくこなして応援の声を集める
netgeek 2016年3月1日
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常識的に考えれば、会社自体が傾きその存続が危ぶまれる中で新卒を採用するなどもってのほか。
多数のリストラを決行した直後であり、また下手すれば未来ある学生の内定取り消しにもつながりかねない。この一手についてはどうしても批判は免れないだろう。
参考1:【衝撃】経営危機に陥っているシャープの社員が「ここ3年で年収が180万円減った」と暴露
参考2:膿出しされた元シャープ社員「今までの年収を維持したい」 ハローワーク「紹介できる職はありません」
しかし、「日本企業で最もTwitterの使い方が上手」と評判のシャープのTwitter担当者はこの困難な仕事をうまくこなした。あなただったら新卒採用のお知らせをどのような文章で告知するか、この先は考えながら読み進めてほしい。
まずシャープが投稿したのは以下のツイート。言われるであろう言葉を先に言ってしまう戦法だ。
お前バカかと言われるのを承知の上で、真顔のまま推しらせしますが、就活スタートにあわせ、弊社も2017年度新卒採用ページを本日オープンしました。 https://t.co/cv0l4j6MMY
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) March 1, 2016
シャープのことを叩こうと思った人もこれではツッコミようがない。このツイートはむしろバッシングされるどころか、大量のリツイートで応援され、「頑張ってください」「シャープ推してます!」「JALも危ないときに採用したけど大丈夫だったからね」などと励ましのリプライが相次ぐこととなった。
シャープのTwitter担当者は続けて独自の仕事観を「推しらせするのが仕事です」という言葉で表現。
公式垢とは自社を推すのが仕事。お知らせだけでは足りない、推しらせするのが仕事です。お仕事は推しごと。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) March 1, 2016
難しい担当者の立場を理解したフォロワーたちはこちらにも励ましの声を多く寄せ、ぬくもり溢れる雰囲気が生まれたのであった。言葉一つで多くの人間の心を動かすとはもはや一流のコピーライターのような仕事っぷりだ。さすが日本一と評されるだけのことはある。
日本を代表するシャープ株式会社、ここが踏ん張りどきだ。
私が言ってもなんの足しにもなりませんが、弊社へエントリーくださる方もそうでない方も、就活、がんばってくださいね。だんだん自分が削られるような気持ちになるかもしれないけど、それこそ幻想なので。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2016年3月1日
謙虚に、そして与えられた任務を愚直なまでに正しく遂行しようとするシャープのTwitterを見ていると前向きな気持ちが生まれてくる。振り返ってみればシャープの電化製品を家で使っているという人は多いはず。今はAppleのiPhoneに押されている携帯電話もJ-PHONEからカメラ付きケータイを出して一世を風靡したのはシャープだった。
▼シャープという社名の由来はシャープペンシルから来ている。全てはここから始まったのだ。
シャープ株式会社、過去10年の株価推移。
失敗のケーススタディとして経営の歴史を紐解けば、経営危機に陥っても少し方向性を変えただけで大逆転した例は多数ある。スティーブ・ジョブズが戻ってきてから新しいiMac、iPod、iPhoneでイノベーションを起こし続けたApple、死滅状態のSNSを傍らにスマホゲームにモンスターストライクで参入し爆発的ヒットを生み出したmixiあたりはシャープの未来を明るいものに見せてくれる事例だと言えよう。
▼株式会社ミクシィ、過去10年の株価推移。
苦しい時こそ明るく前向きに。日本を代表するシャープを応援したい。