「新入社員を叱ったらすぐに辞めてしまう…そうだ!上手に叱られるセミナーをやろう!」←は?
netgeek 2016年7月17日
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セミナーに出たところで成長できるのかは疑問であるものの、セミナーが開催できるほど参加者が集まっているのは確かなようだ。
▼セミナーでは上手に叱られるためにテクニックやコミュニケーション術などを教えてくれる。こちらは「上手に叱られる方法」を学ぶために集まった人々。
画像出所:@yuruhuwa_rikusiさん
叱られ上手とは名誉なのか不名誉なのか。どんな人でもひどく叱られたり、仕事で失敗をしてしまった後は精神的に辛くなるだろう。それが通常の反応だ。こういった叱る側を無条件で正しいと前提に置くセミナーが普及すると、精神的なストレスを労働者側に過剰に我慢させる風土ができるのではないかと心配になる。
▼そんな問題意識はさておき、コンサルタントは指導を続ける。
叱られてしょげていると「おまえ〜叱る方も大変なんだぞ〜。」と諭してくれるおじさんが居たものだ。最近はそういったことも外注で済ませたいということなのだろうか。職場の中で、叱られたり意気消沈したり、その後何となくフォローしてもらったりといった経験を得て、叱られ方を学んでいくような気がするのだが、その中から「叱られ方」だけを切り取ることに激しい違和感を感じてしまう。
▼叱られる体験をすることで耐性をつける?
▼「朝遅刻をしてしまった」というシチュエーションで叱られる21歳の新入社員。
▼謝罪や、状況説明、改善策の提案などの練習をするようだ。企業としてはわざわざコンサルに高いお金を払ってまで実施する研修だろうか?
▼よくある「叱る側に問題がある人」の場合はあまり意味がないように思える。
「上手に叱られるセミナー」に出席するよりも、叱られる原因を分析して叱られないように対策を練ったほうが互いのためによっぽど有意義なのではないか…。コミュニケーション能力や忍耐力が異常に低い人がこの研修で変わるとは思えないのが残念なところ。
そもそも叱られる側に研修が必要なのであれば「上手に叱る研修」こそ必要なのではないか。
▼これは「叱る」ではなく「怒る」
▼離職理由の第1位は労働環境。会社側が働きやすい環境を整えることが大切だ。
実際は離職の理由は複合的な事情が絡まっている場合が多く、「叱られるのが嫌だ」という単純な理由で退職する人がどれだけいるのかはかなり疑問だ。しかしそれでも参加者が集まるということはなんとか問題を解決したいという需要があるのだろう。
プラトンが著書『国家』の中で「最近の若者は…」と記したのは2500年ほど前のこと。いつの時代にも存在する御馴染みのセリフだ。指導を超えたパワハラやら低賃金やらそういった複雑な問題を「最近の若者は叱るとすぐに辞めてしまう」という一言に単純化し、叱られ方を教える方向にいくのは正しいのだろうか?
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