残業代が減った分を社員に還元する超ホワイト企業が素晴らしいと話題に
netgeek 2016年8月26日
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残業について大胆な改革を行ったSCSK、増収増益が実現できたうえに従業員満足度も高まったとホクホクの笑顔を見せる。
▼ブラックな労働環境に陥りがちなIT企業で、なんと残業時間を減らすインセンティブを与えた。残業しなくても残業代が支払われる仕組みだ。
▼労働環境を改善させることを優先し、会社としてはどちらにしても残業代を支払うことで本気度を見せた。
▼さらに残業を減らすための具体的な施策として4つの工夫をしている。いずれも日本人にはあまり意識されない「効率性」を高めようとする取り組みだ。
▼数値で捉えた結果はこちら。残業はしっかり減っているのに利益は増えている点に注目。
これぞ優秀な経営者が手腕を発揮した結果といえそうだ。ただがむしゃらに長時間働くのではなく、しっかりと目標をもって効率よく仕事をする。ホワイトな環境で優秀な人材も集まりやすくなるので好循環が実現できる。
▼SCSK株式会社、直近5年の株価推移。見事な右肩上がりだ。
日経ビジネスオンラインではSCSKの中井戸信英会長がこの制度の導入について語っている。
▼まずは当初のSCSKの労働環境は劣悪だったという話。
あなた方もご存じのように、IT企業といえばブラック企業の代表選手。なのに、今のSCSKの残業時間は平均で月18時間や。1日当たり30分強ってことは、ほとんど残業してない感覚だよ。
僕が2009年、SCSKに経営者として来た時、従業員は喫茶室のようなところで寝泊まりしていることがあった。ひどいのはシュラフ(寝袋)でも持ってきていたのと違うか。昼間の休憩時間と言ったら机の上で寝ているやつもいた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150615/284257/
▼続いて改革した話。
残業は悪である。君らやめたまえ。もっと早く帰れ。経営者がそんなこと言っても、(従業員の)頭の整理としては、『そう言われても、それでは仕事が回らない』ということになる。もう1つは、よしんば残業時間が減ったとしても『そんなことしたら俺、収入が減るやないか』『ローンにも影響するで』と思う。
残業を減らせば給料も抑えられて、経費も販管費も減る。だから、残業を減らせと言っているんだろうと。これが、まず人間、頭に浮かぶことなんですよ。 だからウチは、50時間の残業を20時間に短縮できたら、30時間の残業代は全部翌年のボーナスで戻すと言った。だから、収入、経済上の心配は一切するなと。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150615/284257/?P=3
残業しなくても残業代が貰える制度はトップが従業員のことを大事に考えたからこそ生まれたインセンティブだった。ここ数年、このように考え方を合理的に変えることで業績を向上させる会社は多い。
そもそも昔は労働時間に比例して生産性が上がる単純作業の仕事が多かったが、知的労働が増えた今は必ずしも労働時間と生産性が比例するとは限らなくなった。だからこそ給料を時間で図るのは間違いになったのだ。SCSKの残業代を必ず支給する制度は実質的にアメリカ企業の年俸制に近い。給料を時間ではなく実力で支払う形態だ。
お笑い芸人でIT企業テラスカイの役員でもある厚切りジェイソンは日本企業の変な習慣について毒を吐きまくっている。
まず、残業制度はダラダラしている無能にご褒美をあげる制度だと一刀両断。確かにアメリカでは残業している人は「時間内に仕事が終わらせられなかった居残り組」と認識される。
参考:厚切りジェイソン「仕事を効率悪くやる人にご褒美をあげる残業制度がある限り日本企業はグローバルで勝てない」←正論すぎると話題に
また厚切りジェイソンは遅刻についても斬新な見解を示した。これもまた日本人の常識を覆してくれる眼から鱗な指摘だ。
参考:厚切りジェイソンが部下の遅刻に悩む上司に名回答!「遅刻は業務に支障なければ叱らなくてOK。日本人は始業時間だけ厳しくて終業時間にはルーズでおかしいよ」
まだまだ日本企業には時代遅れなところがある。SCSKのみんなを幸せにした大胆な経営改革は素晴らしいケースとして他企業も学ぶべきだ。