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ホリエモンが唱えた放送と通信の融合は正しかった。皮肉にもニッポン放送がバイラルメディアを買収して証明へ向かう

netgeek 2016年2月27日
 

ニッポン放送がバイラルメディアgrape(株式会社grape)の株式を100%取得し買収したというニュースが世間を驚かせている。メディアとITが一緒になるといえば、かつて堀江貴文氏が目指した「放送と通信の融合」そのままではないか。あのとき猛反発したニッポン放送は皮肉にもホリエモンが敷いたレールの上を走り始めた。

10年前、堀江貴文氏がニッポン放送(フジテレビ)に敵対的買収を仕掛けたときは、メディアや有識者から「実態よりも膨らんだ時価総額を元に株式交換で買収することでお買い得に手に入れようとしているだけ」と非難された。

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さらに消費者視点では「買収にはビジョンがない。何をしようとしているのか分からない」と袋叩きに…。それに対し、ホリエモンは抽象的に放送と通信の融合が必要なのだと頑なに主張し、テレビの集客力を活かしてITビジネスとのシナジーを発揮したいと一歩も譲らなかった。最終的にはライブドア社内での反対もあり、ニッポン放送買収は頓挫。とはいえライブドアは結果的にボロ儲けし、宮内亮治CFOは「カツアゲしてやった!」という言葉を発した。

あれから10年経った今、ニッポン放送はバイラルメディアgrapeを買収したと発表した。全社をあげて敵とみなしたホリエモンが見据えた未来を実現しようとしているとはなんとも奇妙な話だ。

ニッポン放送は25日、インターネット上のコンテンツ(情報の内容)提供会社、グレイプ(横浜市港北区)を同日付で買収したと発表した。同社のサイトを活用し、グループ関連コンテンツの普及を目指す。ニッポン放送はグレイプの株式を旧経営陣などから100%取得し、社長など役員を刷新した。取得額は未公表。社長には25日付でニッポン放送プロジェクトの中島恒雄取締役相談役(66)が就任した。

http://www.sankei.com/economy/news/160225/ecn1602250047-n1.html

新社長には中島恒雄氏(66)が就任しており、ベンチャービジネスを切り開いていくには年齢が高すぎるという批判も聞かれる。DeNAがiemoとMERYを買収したときは経営チームごとの買収だったが、今回は会社の器を買って人を入れ替える形だ。

ニッポン放送としては自社が抱えるコンテンツをより拡散させるべく、バイラルメディアを宣伝媒体として使っていく狙いなのだろう。まさしく放送と通信の融合だ。また、すでに多数の広告出稿企業と取引があるため、ネイティブアド(記事広告)の営業はかけやすくなると見られる。

もっとも堀江貴文氏はこの一手について異論を唱えており、自身が目指していた融合とは違う方向に向かっていると指摘した。

んー、コメント欄みてるとあんまり筋の良い会社じゃないみたいね。それとは別にラジオ局はトーク番組という豊富なネタ元を抱えてるんだから、それを起点に情報メディアやるといい。スポーツ芸能マスコミのニュースなんてテレビラジオ起点のものが多い。ラジオは特に爆弾発言とかも平気で流したりできるから。録音番組なら他のサイトが流す前に予め準備しといて流せる。

https://newspicks.com/news/1415949/

ニッポン放送の経営戦略にはいまいち納得できていない様子だ。実はM&Aの成功率はわずか3割ほどで、残り7割が失敗すると言われている。ノウハウが通用する同業種の買収ならともかく、他業種を飲み込む場合はなおさら成功率は低くなる。

バイラルメディアについては2014年頃よりも業界全体の勢いが失速しているという指摘も聞かれ、grapeの経営陣がどうして売却してしまったのか、その意図も気になるところだ。将来性があると見込めばそう簡単には手放さないだろう。

なお、全く話題にはならなかったが、バイラルメディアは現在、ひっそりと売却が相次いでいる。

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netgeek編集部が掴んでいる情報をまとめておきたい。まず株式会社IREMONOが運営していたfeelyは東証マザーズ上場のトレンダーズ株式会社が買収した。トレンダーズはこれまでも動画系バイラルメディアの「いまどうが」で勢力拡大を目指していたがあえなく撤退していた。ここにきて買収ということは、まだバイラルメディアは諦めきれないということか。

参考:トレンダーズ株式会社がいまどうがを閉鎖してバイラルメディアから完全撤退

次に株式会社狩猟社が運営していたViRATESはスマホアプリ制作のグッディア株式会社が買収した。この他にも売却にまで至らず、あえなく閉鎖してしまったサイトも多い。「会社は学校じゃねえんだよ」という熱いセリフで有名になった株式会社WAVESTのBUZZHOUSEもそのうちの一つで、サイバーエージェントからの出資で資本金は1億3000万円もあったにもかかわらずバズる記事を生み出すことはできなかった。

Facebookページのいいね数は資金力を活かして広告でいくらでも増やせるが、面白い記事を投稿してエンゲージメント(いいね、シェア、コメント、記事クリック)を得なければアルゴリズムで価値の低いコンテンツと判定されて配信されなくなる。バイラルメディア衰退の原因はFacebookのアルゴリズム変更とも指摘されており、要するに以前に増して面白い記事をつくる実力がないところは淘汰されていく傾向が強まったといえる。

参考:【衝撃】バイラルメディアの死滅率を調べたら1年で77%と異常に高い数値だった

クラウドソーシングサイトで素人のライターを集め、安い報酬で質の低い記事を書かせているところはビジネスを、そしてメディアというものの役割を舐めすぎだ。クラウドソーシングサイトで自称「フリーライター」を名乗っている人は普通の会社で働くこともままならなかったただの引きこもりフリーターであることが多い。何の専門知識もなく、まともに正しい文法の文章すら書けないのに何がフリーライターか。

文章というものは人間が脳で思考したものを具現化したものなので、見れば一発で頭の良さが読み取れる。

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「ペット、かわいいですよね。ペットといえば猫が人気ですが、今日は猫ちゃんを紹介しちゃいます!猫は犬よりも好きという人が多い動物です。どうして猫は人気なんでしょうか…。わかりません。とにかくそんな猫はこちら。可愛いですね。触りたくなりますね。可愛い猫ちゃんでした!」。某バイラルメディアでこんな駄文がまかり通っているのは異常としかいいようがない。全く嘆かわしい限りだ。

さて、話を本題に戻そう。バイラルメディアとは決して質の低い記事を垂れ流せばビジネスが成り立つものではない。

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むしろ世の流れを的確にタイミングよく捉え、読者が唸るような、そしてときには読者の間で議論が巻き起こるような記事を出してこそ成り立つものだ。ニッポン放送が経営するバイラルメディアは今後どのようなものに変化していくのか。放送と通信の融合を楽しみに観察していきたい。

あわせて読みたい→バイラルしないバイラルメディアをつくってしまい、あえなく撤退した6人の大物たちをまとめてみた

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