PCデポ「ノルマは課してません。現場の暴走です」→怒った従業員がトウゼンカードを流出させる
netgeek 2016年9月4日
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今回、勇気をもってトウゼンカードを流出させたのは「PCD-CLDF@PCD_CLDF」さん。2枚のトウゼンカードを公開した。
(1)SLPのトウゼンカード
注目すべきは以下のポイント
・5 iPhone、iPad、iMac、iPodを全部買わせる(平日・土日1件ずつ)
・7 解約を思いとどませると得点になる
(2)SM(ストアマネージャー=店長)
・4 マインクラフトが教育ツールとして注目されているという話をして組み立てキット販売に繋げる
・5 デバイスは今後、音声認識などが進化すると説明してプレミアムサービスに加入させる
・7 iPhone、iMac、iPadをセットで売りつける
・10 個人情報流出は恐いという話をしてプラチナパックに入らせる
専門用語が多く、理解できない箇所がありつつも、素人目に見ても店員として不誠実なインセンティブが働いていることがわかる。基本的には何かを売りつけると評価になるというもので、しかも「トウゼンカード」という名前の通り、これは当然のこととなっているのだ。
各項目には「平日、土日3件」など具体的な数値目標が書かれているため、目標達成に焦る店員としては時として認知症の老人を騙してでも契約を取りに行くことがあると予想される。単純に顧客の困ったことに相談に乗ってサポートしていればいいのに、PCデポは上層部がこのような評価制度を店舗に押し付けたからこそ炎上の火種をつくることとなった。
もし誠実な店舗経営を目指すならチェック項目は(1)笑顔で対応できた(2)お客様の悩みを解決できた(3)丁寧な言葉遣いができた、(4)技術的な説明を理解してもらえた、など顧客満足ベースのものにするべきだった。
関係者の重要な証言。
▼トウゼンカードの「会員様思いとどまり」とは解約をうまく引き止めたことを意味する。
▼スタッフとしては解約はなんとしても引き止めたい。そうしないと店舗全体の責任問題になるからだ。
▼解約の罰は重い。だからこそPCデポでは「本人確認ができないと解約できない」などといって帰らせる裏技が横行した。
トウゼンカードの評価ポイントは明らかに顧客満足度に基づくものではなく、売上に基づくものだ。こうした金儲け第一主義の評価制度の下で働かされていた従業員が社長の「現場の暴走」という一言まとめに反発する気持ちはよく理解できる。
ここで野島隆久社長がインタビューで答えた言葉を振り返ってみよう。
(1)時事通信。従業員はここでの社長の発言を「現場の暴走」と総括されたと受け取ってネット上で反発した。
ピーシーデポコーポレーションの野島隆久社長は1日、インタビューに応じ、高額なサポート契約が高齢者を狙った行為とインターネット上で批判されたことについて、「そのような営業指示を出したことはない」と語った。その上で、組織ぐるみの行為ではなく、特定の店舗と顧客の間に生じた契約上の問題との認識を示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160901-00000149-jij-bus_all
(2)週刊ダイヤモンド。こちらでも社長はノルマは課していないので会社の体質ではないと主張している。つまり店舗が勝手にやったことということになる。
――店や従業員の暴走なのでしょうか。それとも、会社の運営体質の問題だったのでしょうか。
チームや店舗としての予算や、個々のサービスの予算は設定していますが、従業員一人一人のノルマはありません。
確かにPCデポには「ノルマ」と呼ばれるものはない。だが、トウゼンカードの各項目はノルマとして機能しているものであるし、罰もある。なにより「トウゼン」なのだからこれはもはやノルマだ。
また、PCデポ2017年新卒採用ページには驚くほどの綺麗事が書かれている。実際の経営実態とは180度違う身震いするほどの嘘だ。
スタッフにノルマを課していないのも、お客様一人ひとりの「困った」に丁寧に向き合い、一番良い解決方法を提案していくための工夫です。もしノルマがあったら、お客様にとって本当は必要のない機能のついた高額商品をお勧めしてしまうかもしれません。
インクや用紙などを探しているお客様よりも、パソコンなど高額な商品を買ってくださるお客様を優先してしまうかもしれません。接客時間をできるだけ短く、数をこなそうとしてしまうかもしれません。
けれども、それではお客様と永くお付き合いしていくことはできません。お客様一人ひとりの使用目的にピッタリの商品をオススメし、ご購入後にしっかり使いこなせるまでをサポートするのがPC DEPOTの接客スタイル。
今回トウゼンカードが流出したことでPCデポの真っ黒な腹が世に晒された。表向きはいい顔をしておきながら裏では高額なサービスを契約させようとしていたのだ。良心が痛んだ者が続々と離職するのも納得。残って好成績を出すのは人を騙すのに抵抗がないサイコパスな人だけだったことだろう。
さらにPC DEPOT 内定者アルバイト募集要項(削除済み)には次のようなことが書かれていた。
・人事考課では、トウゼンカードの獲得項目数が大きな比重になっている
・成長プロセスにてトウゼンカードを優先項目と捉えさせ、他店スタッフや、自カテゴリー内での競争を意識させる
参考:東京都 PC DEPOT 内定者 アルバイト募集要項(魚拓)
これらの事情を鑑みればトウゼンカードに記された項目が実質的なノルマとして機能していたことは明らかであり、社長が「ノルマは課していないので会社全体の責任ではない」と総括したのは間違いであることが分かる。従業員の立場からすれば上からめちゃくちゃな目標を課されたのに、いざ問題が起きたらトカゲの尻尾きりをされたのでは堪ったものではないだろう。
ちなみにPCデポ内部では現在「暴露をするな。訴えるぞ」と脅す文章が出回っている。
▼従業員が書き起こして公開したもの。
▼その後、暴露公開された原本。
後半で告げ口を募集している点にも注目。ちなみにこの文章を公開した人物は特定されて訴えられても戦うつもりがあるとのこと。今後も内通者となって暴露を続けてくれるだろう。ノルマはないと説明しつつもトウゼンカードのことには一言も触れなかった野島隆久社長、インチキ経営は改善していない。
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