「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる」超ホワイト企業工場長の言葉が熱い
netgeek 2016年8月24日
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朝日新聞の「声」欄に、ある企業の工場長の投書が載った。その言葉は実に力強く、労働環境について考えさせられるものだった。
このツイートが投稿されてから程なく、投書した企業は大阪にある「パプアニューギニア海産」であることが分かった。同じ内容がHPにも掲載されているので、読みやすいよう改めて引用したい。
「好き」を尊重して働きやすく
会社員 武藤 北斗(大阪府 40)
私が工場長を務める水産会社では、子育て中のパートさんが主に働いています。彼女たちの働きやすさを考え、「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる」という制度にして3年。各自の自主性が増し、効率や品質も上がりました。今では会社のためにも欠かせない制度だと確信しています。
今年から始めたのは「嫌いな作業はやらなくてよい」という取り組みです。人には個性があり、当然ながら好き嫌いや得手不得手も同じではありません。従業員へのアンケートでは、苦手な作業が偏ることなく見事に分かれました。各自が好きな作業に専念しても問題ないのでは、と考えたのです。
従業員からも「嫌いな作業をする不安がなくなり気持ちが楽になった」「夫や子どもとの時間を優先できる生活になった」と好評です。これこそ自分の仕事に誇りを持ち、人生を前向きに生きるこれからの働き方ではないでしょうか。
従業員の意欲は業績につながります。意思を尊重して利益を生むプラスの循環は、争いのあふれる世界を変えていく力があるはず。会社も世界も疑い合うこと、縛り合うこと、競い合うことから抜け出す時期にきたように思います。
「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる」「嫌いな作業はやらなくていい」というシステムを導入し、しかも結果を出しているというから驚きだ。この記事に対し、Twitterでは賞賛の声が集まっている。
また、工場長の武藤北斗氏ご本人が、Twitterでこの記事に対し様々なことを問いかけている。
「世界への問いかけを投げかけたつもり」という武藤氏は、目先の利益だけでなく遠いところを見ている。意見や質問も募集しており、投げられたコメントに対して丁寧に自身の考えを語っている。
▼出勤日数などに対する疑問について。従業員はそれぞれの環境に合わせて、働き方を選べるようだ。
▼「嫌いな作業はやらなくていい」の真意について。人によって好きな作業・嫌いな作業は違うというのが出発点。
▼「従業員目線からはどうなんだ」という質問に対し、ミーティングの仕方を工夫していると説明している。
質問は想像以上にたくさん寄せられているようで、近日中にブログで改めて武藤氏の考えをまとめるとのこと。気になる方は、「パプアニューギニア海産」のHPをチェックしてみていただきたい。
ちなみに、「海外と日本の労働環境の違い」を揶揄するツイートが最近も注目を集めていた。
▼海外のニュース。「労働時間を減らしたほうが作業効率が上がる」
▼日本のニュース。「なぜイマドキ新入社員は定時で即帰ってしまうのか」
「作業効率を上げるために労働時間を減らそう」とする海外と、「新入社員を自ら残業したいと考えるようにさせよう」とする日本。どちらが健全な社会の姿かは、考えるまでもないだろう。武藤氏の「世界への問いを投げかけた」という言葉が重く聞こえる。すぐに全てを変えることができるわけではないが、経営者の皆さんにはぜひ熟考していただきたいテーマだ。
【追記】今回話題になったことで、工場長が周囲からの質問に答えた回答は株式会社パプアニューギニア海産の公式HPをご覧あれ。