意味のない階段、どこへも繋がっていない扉。異世界を感じる超芸術トマソンの世界がすごい!
netgeek 2016年7月15日
|
その階段の写真は、異世界を感じさせる奇妙なものだった。そして「トマソン」という謎のワード…。
▼宙に浮く誰も昇れない階段。二度見せずにはいられない奇妙さだ。
▼今度は階段がなくなり、入ることのできなくなった小部屋。違和感しかない。
▼どこへも繋がっていない階段。異世界へ続く道のようにも見える。
これらは、おそらく設計変更や新しくできた建物の影響により、意味をなさなくなった階段だろう。不気味でありつつも、どこか不思議な魅力のある写真だ。このように無用の長物となってしまったものを「トマソン」と呼ぶらしい。
超芸術トマソンとは、赤瀬川原平らの発見による芸術上の概念。不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物。存在がまるで芸術のようでありながら、その役にたたなさ・非実用において芸術よりももっと芸術らしい物を「超芸術」と呼び、その中でも不動産に属するものをトマソンと呼ぶ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%82%BD%E3%83%B3
端的に言うと、役に立たなくなった階段や扉に注目した芸術が「超芸術トマソン」だ。その役立たなさに芸術性を感じるらしく、アートの世界は素人に分からない深淵なものということか。ちなみに1980年代に雑誌に特集されたのをきっかけにブームに火がついたので、名前くらいは聞いたことがあるという方も多いだろう。
このツイートに触発されたのか、全国各地から「トマソン」の写真が投稿された。
▼上に建物ができ、降りることのできなくなった階段。秋葉原にあるそうだ。
▼壁へと続く階段。設計ミスだろうか?
▼パイプのせいで、開けられなくなった扉。これぞ無用の長物。
▼明治時代の建造物の2階にある扉。こんなに昔から「トマソン」はあった。
▼これぞ究極のトマソン。ぼーっとエスカレーターに乗っていると危ない!
ちなみに、「トマソン」の語源は、かつて読売ジャイアンツに在籍した、ダメ助っ人外国人のゲーリー・トマソンに由来する。
▼元大リーガーのゲーリー・トマソン。1981~1982年、読売ジャイアンツに在籍した。
トマソンは、元大リーガーとして移籍後1年目はそこそこの活躍を見せたものの、2年目は全くの不発であるにもかかわらず四番打者の位置に据えられ続けた。空振りを見せるために四番に据えられ続けているかのようなその姿が、ちょうど「不動産に付着して(あたかも芸術のように)美しく保存された無用の長物」という概念を指し示すのにぴったりだったため、名称として採用された。
ネーミングからして、実に破天荒な芸術概念だ。なお、トマソンの創始者、美術家の赤瀬川原平氏の遺志を継ぐ「超芸術トマソン観測センター」がFacebookに公式ページを開設している。各地で撮影されたトマソンの写真なども多く展示されているので、気になる方はチェックしてみていただきたい。
▼Facebookの公式ページ。アイコンもしっかりとトマソンだ。
最後に、今回リサーチした中で最大のトマソンをご紹介したい。
▼兵庫県姫路市にある、廃線となったモノレールの跡地。この軌道の一部は実は…
▼なんとビルに突き刺さっている!これぞビッグサイズの無用の長物。トマソンに相応しい役立たなさだ。
今回ご紹介したもの以外にも、全国のトマソンを撮った写真が続々とTwitterに投稿されている。いかに役に立たないものが身近に溢れているかということが分かる。なお、語源となったゲーリー・トーマス選手は、引退後に親のビジネスを引き継いで実業家となったそうだ。当の本人は、21世紀になってもこんなところで名前が使われ続けていることに気づいているのだろうか。