「孤独な老人の家に貧乏な学生を住まわせたらwin-win」という理想論に批判殺到
netgeek 2015年10月26日
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まず学生生活の前提条件から確認しておきたい。高村武義さん(@tk_takamura)は最近の大学生のアルバイト事情に関してこのように指摘している。
▼アルバイトをする目的に関して。
▼継続して上昇しているのは「生活費・食費」と「授業料・学費」の2つだけだ。
生活費や学費を目的とする学生の割合が急激に上昇する一方で、旅行や衣服購入などの趣味へのお金を目的とする割合は減少している。どうやら、最近の大学生は生きることに精一杯のようだ。
彼は、親から学生への仕送り額の推移に関しても面白いデータを投稿している。
▼仕送り額は年々減少している!
▼昔はほとんどいなかった「仕送りゼロ」も10%近くに。
親を頼ることもできない状況になっているということだ。さてここからが本題。
このような状況の中、保坂展人氏はHUFFINGTON POSTにて、高齢者の孤独を和らげるために学生を高齢者とホームシェアさせる「異世代ホームシェア」を推奨した。
参考:「高齢者の孤独」を癒す「学生・若者とのホームシェア」の可能性は
▼この提案に対し、「若者の視点が全くない」と手厳しく批判する高村さん。
記事の中では、一人暮らしの高齢者の家に貧乏な学生を住まわせれば、学生は家賃が浮き、高齢者は孤独を癒すことができるのでwin-winの関係になれるという理想論が書かれていた。
▼それに対して、ブラックバイトと同じことが起きると指摘する。
以前、netgeekではブラックバイトはすぐに辞めてしまえば市場原理が働き淘汰されるという話を紹介していた。
参考:堀江貴文が高校生の労働組合「首都圏高校生ユニオン」の結成を痛烈に批判。その真意とは?
同じ理論でいくと、嫌な同居人に当たったら家を出て行けばいいということになる。しかし、住居に関しては出て行きたくても簡単には「次」は見つからないわけで、これは「ブラック企業」ならぬ「ブラックハウス」とでも言えばいいのだろうか。
▼そもそもブラックバイトがまかり通る原因は学生の生活が苦しくて無茶な要求に答えてしまうから。
生活に余裕のある学生は高齢者とシェアなどしないだろう。シェアハウスをしてくれる学生を「貧乏な学生」と想定しているのであれば、かなり見当違いの理想を語っていることになる。ブラックバイトとブラックハウスの二重苦を与えることになるかもしれないからだ。
Twitterには高村さんの意見に賛同する声が多数上がっている。
▼学生からは生活することで精一杯という悲痛な叫びが。
▼大学が良かれと思っていることも誰かを苦しめるかもしれない。
高村さんは「この国はあまりにも若者を搾取しすぎている」と語っている。異世代ホームシェアはきっと悪意を持って考えられたわけではないだろうが、視点が抜け落ちると誰かの理想は一方で誰かの不幸になりうるということを意識しなければならない。