青山学院・山本寛教授「若手の離職を防ぐのは運動会・社員旅行のコミュニケーション」←違う!
netgeek 2018年7月23日
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どうしても納得できない箇所がある。
(1)おぞましい主張ばかり。
運動会や社員旅行など全体のコミュニケーションの場を、強制ではない形で作っておくのもいい。カラオケに誘ってみるとか趣味のサークルとか、複数のチャンネルで若手が自発的に参加できる場が望ましいです。メンター制度の導入や、ブラザー・シスター制度といいますが、2〜3年上の先輩が月イチで飲み会を開いて、不満を吸い上げたり、自分の失敗談を通してアドバイスしたりする機会が新入社員を支えますよね。
(2)こんな思考にはならない。
そうした機会を積み重ねていくと、いざ転職が頭をよぎったときに「仕事はキツいけど、あの人たちと一緒にやるのも悪くないな」と気を取り直してくれるかもしれない。人を大切にする、風通しがよい社風は、社員の辞めにくさにつながります。
おそらく山本寛教授は実務を全く理解していないのではないだろうか?まさに老害上司が考えつきそうなことをペラペラとあたかも効果がある施策のように語っている。ネット上ではこの記事がシェアされ、猛反発の嵐となった。
以下、netgeek編集部の考え
・山本寛教授は「自由参加の場をつくっても半ば強制になる」ということを理解していない
・若手にとっては「参加しなければ評価が下がる」という懸念もあり、心労は増える
・仕事以外のコミュニケーションにニーズはない
・特に仲が良くもない人とカラオケに行きたくない
・社員旅行などもってのほか
・運動会は時間の無駄
・長時間労働をこなすので精一杯。趣味のサークルに行く暇はない
・飲み会が好きな先輩は大体、後輩から嫌われている
・飲み会で説教されるのが酷く不快
・離職の理由で最も多いのは人間関係なのに、接点を増やしてどうする
以上の理由から山本寛教授の提言は逆効果だと予想される。しかしそれにしても経営学者である山本寛教授はどうしてここまでとんちんかんな発想を生み出してしまったのか。そのメカニズムを紐解くために経歴を確認してみた。
山本寛教授は青山学院大学経営学部経営学科に所属。専門は人的資源管理論、キャリア・ディベロップメント、組織行動論。
出典:http://yamamoto-lab.jp/coverage/703/
以下、経歴。
・1979年、早稲田大学政治経済学部を卒業
・1979年、日本債券信用銀行(あおぞら銀行)に入行
・1982年、日本債券信用銀行を退職して千葉県千葉市役所に入所
・立教大学の博士課程(前期)に
・明治大学の博士課程(後期)に
・1991年、千葉市役所を退職。函館大学の講師に
・1994年、函館大学の講師を辞めて、千葉商科大学の講師に
・1997年、千葉商科大学の助教授に
・2001年千葉商科大学を退職し、青山学院大学の助教授に
・2003年、青山学院大学の教授に昇格
経歴を見るに大きな問題点が二つある。まず第一に民間会社での経験が約3年しかないこと。部下を育てた経験も、管理職としてのマネジメント経験もないだろう。第二に実務経験があったのが1979年から1982年とかなり昔なので時代遅れになっていること。
昔は終身雇用制で一つの企業に入ると定年まで働くのが普通だったが、今は転職が当たり前になっている時代なわけで、社会の変化とともに働き手のニーズも変わってきている。今や企業の家族主義は全否定の対象となっており、もっとドライな人間関係が理想とされているのだ。
おそらく山本寛教授は自身の経験も踏まえて離職率を減らす方法を考案したのだろうが、エビデンスが確認できないところが学者としては致命的。
netgeekでは運動会や社員旅行に本当にニーズがあるのかどうか確認すべくアンケートをとってみた。
青山学院・山本寛教授「若手の離職を防ぐのは運動会・社員旅行のコミュニケーション」
— netgeek (@netgeek_0915) July 23, 2018
結果は言わずもがな。ブサ男が売るモテ理論や与沢翼が売る金持ちになるための情報商材に説得力がないのと同じように、裏付けのない山本寛教授の理論は信用できない。何より張本人の若手の大多数が猛反発しているのが決定的だ。
東洋経済の記事を読むと、山本寛教授の言葉には他にも首を傾げたくなるものが散見される。例えば内定辞退率を減らす方法について「2~3年目に地方勤務があるなら、伏せずに伝えておくことが大事」と話しているのだが、事前に正直に伝えればそもそも採用できないわけで、だからこそ人事部はあえて隠すのだ。それで一部が辞めても全体としては得するだろう。
実務で使えない提案をする経営学者に存在価値はないと思う。時代に逆行して運動会や社員旅行を普及させようとするのはやめてほしい。
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