前川喜平「博士課程もない加計学園は審査落ちレベル」→教授たち「学部をつくってから博士課程をつくるものなんだが…」
netgeek 2017年11月13日
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前川喜平・前文部科学事務次官は毎日新聞の取材に応じ、「林芳正文科相は認可すべきではない」との見解を示した。(中略)
特区のプロセスが安倍晋三首相の意向をそんたくして「ゆがめられた」との認識を示し、「まじめに再審査したら、落とされるだろう」と語った。(中略)
前川氏は「博士課程もないのに先端研究ができるわけがない」と加計学園の教育体制に疑問を投げかけた。
前川喜平氏は、これから設立される岡山理科大学(加計学園)は国際的な先端研究を目指しているにもかかわらず博士課程がないのはおかしいと批判している。しかし、実務に携わる教授陣からすれば博士課程は学部をつくってから設置するものなのだという。
反論をまとめてみた。
(1)明治大学政治経済学部の飯田泰之准教授(経済学者)。現時点では博士課程は設置できないと主張。
一期生が最終学年になるまで博士課程設置できないのに「博士課程もないのに先端研究ができるわけがない」。。。完全に印象操作
→岡山・加計学園:獣医学部新設問題 「認可すべきではない」 前川氏が疑問呈す – 毎日新聞 https://t.co/wzIdHSiMdf
— 飯田泰之 (@iida_yasuyuki) 2017年11月12日
(2)慶應義塾大学の大屋雄裕教授(法学者)。博士課程はまだ申請できないと指摘している。
ちょっと待て。まさか博士課程はそれ以前の課程(獣医なので学部六年制)が埋まってからでないと設置申請できないのが原則だと知らない人間が次官やってたわけじゃねえだろうな。>「博士課程もないのに先端研究ができるわけがない」
https://t.co/9X3GC6o328— Takehiro OHYA (@takehiroohya) 2017年11月11日
簡単に説明すると、理系の先端研究の研究環境(人材、機材など)を整えるには最低でも数年~10年ほどかかるため、大学を新設する場合はまず学部を開設してから博士課程の準備を整えていくのが実務の慣例なのだという。元々はルールとしてもそのような手順を踏むことになっており、文部科学省にいた前川喜平氏がそんなことも理解していないというのは開いた口が塞がらないと批判の声が殺到した。
ただしルールについては最近は規制緩和が進んでいるという。
一部訂正です。この点、徐々に規制緩和されているようで、平成13年に関連告示等が「大学院設置審査基準要項細則」に統合された際に「基礎となる学部等の設置後、一年を経過した以降」となっていることを確認しました(10エ)。ただし、同時設置ができない点は変化ないものと思われます。 https://t.co/HRDcxnfFVT
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) 2017年11月12日
これは僕も知らなかった。。。
(完成年度ではなく学部設置後一年経過以降が要件とのこと)ただし最近の新設学部の院の設置をみてもみな完成年度まで待たされている模様. https://t.co/saIVIq31Ey
— 飯田泰之 (@iida_yasuyuki) 2017年11月12日
いずれにせよ「学部設置後1年後」というルールならば現在の岡山理科大学に博士課程がないのは当たり前で、前川喜平氏の意見はとんもない言いがかりということになる。
博士課程設置の実務手順については大屋雄裕教授が詳しく説明してくれた。
①あ〜これわかんないかもねと思ったので補足。まず「最先端研究」が基準となるべきという点自体を否定する必要はない。
ただ、現在の理系の研究は特殊な分野を除くと研究者が一人で行なうものではなく、ユニットを作って複数で協力する必要がある。このユニットを「ラボ」とか呼ぶ。 https://t.co/WOwLe1YWI3— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
②個々のラボは、対外的にラボを代表して予算獲得などもしてくる人(典型的には教授)、ラボ内部を統制してプロジェクトを進める人(准教授)、実験の指導や監督する人(助教)に加えて実際に研究を進めるポスドク・院生などで構成される。
で、チームなので、人を揃えてせえのでできるわけではない。— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
③ハード面もそうで、物理的な研究室・実験室、実験装置などはカネ出して揃えれば揃うかもしれないが、準備や調整、使う方の人の慣熟、試料その他の薬剤を整えて使える状態にするだけでも相当の時間がかかる。ウエット系の研究で実験動物が絡む場合はもっと深刻。
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
④なので理系の先生方に言わせると、自分がトップになってからラボ全体が機能する状態に持って行けるまでに数年、下手すれば十年かなという話になる。これが彼らのモビリティが低い最大の理由(逆に、単独研究中心で移っても研究できる文系は移動可能性が高い)。
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
⑤要するに理系の研究拠点を作るというのは相当の時間を要する作業で、現時点でできるのは《数年後に研究拠点になるような組織作りに着手する》ことに過ぎない。その時点までには学年も進行して博士課程が設置できる状態になっているはずだから、現時点での博士課程の有無は研究遂行能力と関係ない。
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
⑥いや最先端の研究拠点は発足時点から博士課程を伴う必要があるというなら、国家戦略特区で新設申請を認めることにした時点で、同時設置を認めない根拠になっている大学院設置審査基準要綱細則の規制緩和を、《文科省が》やっておく必要がある。どちらにせよ文科省の問題には変わらないわけ。(終)
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
なので、研究拠点として博士課程が必須だと文科省が考えるのであればその旨を告示作成の際に主張し、要綱細則の緩和措置を盛り込んでおかなくてはならなかったはずなのです。なお告示原文は確認しましたがその旨の規定はありませんでした。 https://t.co/MzErPv5kc3
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
そう思います。規定上は規制緩和されているものの実務的には(いまRTした飯田先生のご指摘通り)完成年度を待つのが必須と考えられており、全体として一定の政策が背景にある特例だと考えた方がいいかと。
そもそも根拠規定が「告示」であることからもわかる通り、とにかく不明朗な規制なんですよ…… https://t.co/nj6c1vQs7a— Takehiro OHYA (@takehiroohya) November 12, 2017
最終的に文部科学省の落ち度になっている点に注目。前川喜平氏がいきなり博士課程設置を求めるなら開学条件にその旨を追加しておくべきだった。後出しジャンケンでケチをつけて認可を認めようとしないのはずるいという話だ。
この後、周囲からは反例として北海道医療大学が学部と院を同時設置した例が挙げられたが、正確には院は設置ではなく「収容定員の増加の手続き」をとっただけで、さらに博士課程は2年遅れでの設置だったことが明らかになった。
そもそも自校出身者ゼロの状態で大学院を置けなんてどんな無理ゲーだよ。。。という感は否めない
— 飯田泰之 (@iida_yasuyuki) November 13, 2017
言われてみれば確かにその通り。先生でなくとも大学生であれば簡単に想像できることだろう。
前川喜平氏はただごねているだけ。その証拠として主張が変わってきている。
▼はじめは「安倍総理が友人をひいきしたから認可すべきではない」と主張していた。
だが後に加戸前知事や国家戦略特区ワーキンググループメンバーの証言で安倍総理は決定のプロセスに関与していなかったことが明らかになる。すると前川喜平氏は攻めるポイントを変え始めた。
▼「先端研究ができる体制がないから認可すべきではない」という主張にすり替えた。
もはやごねているだけ。複数の関係者が安倍総理の潔白を証言しているのに対し、前川喜平氏は「安倍総理が関与したと思った」という推測のみで証言や証拠は一切提示することができていない。はじめに前川喜平氏のタレコミを信じてスクープとして報道してしまったマスコミは今さら後に引けず、偏向報道に手を染めるという手で誤魔化し始めた。
参考:加戸前知事「前川喜平のタレコミ、NHKは当初無視していたのに不純な動機で報道に踏み切った」
加戸前知事の証言は取り上げず、批判されたらアリバイ作り程度に少し紹介するだけ。普段テレビしか見ない層はともかく、インターネットで直接国会中継を見たりソーシャルメディアで情報収集したりする層は真実を見抜く。
前川喜平氏が最終的にたどり着いたのは研究実務という専門外のことにいちゃもんをつけて妨害することだった。もっとも素人が口を挟めばすぐにボロが出るわけで、もう余計な口出しをせずにひっそりと自分の過ちを反省しておいてほしい。
もう出てくるな前川オンザビーチ。
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