モンドセレクション10年連続金賞の会社が倒産。どこにお金を使いすぎたんだろう?
netgeek 2016年8月31日
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市川商事は昭和51年に設立された老舗で当初は日本料理店を経営していた。
その後、味噌だれの研究開発を独自に進め、モンドセレクション金賞を受賞した。会社HPを見るととにかく賞を受賞したということがアピールされており、品質の良さを訴求しようとしていることが分かる。
だが、モンドセレクションといえば「お金で買えるインチキ賞」として有名でもある。
過去には科学的根拠が何らないうえに味も普通の水と変わらない水素水がモンドセレクションを受賞し、金儲けに走り過ぎだと批判されたこともあった。モンドセレクションは審査料を数万円払えば非常に受賞しやすいので企業が箔をつけるためによく利用するのだ。
参考:水素水がモンドセレクション金賞を受賞して大爆笑。ダブルインチキで夢のコラボレーションや~
モンドセレクション運営陣と企業側はまさしくウィン・ウィンの関係をつくることができ、騙されるのは無知な消費者のみ。実際に企業のマーケティング担当者によると、商品に「モンドセレクション金賞受賞」とつけるとそれだけで売上が飛び跳ねるのだという。
東京商工リサーチによると市川商事は売上高の低迷に苦しんでいたようだ。
19年9月期は売上高約1億8000万円を計上していたが、20年に日本料理店を廃業してから売上規模は一気に縮小、21年9月期は6480万円にまで落ち込んだ。
その後、テレビやインターネットによる通信販売を開始し売上は回復基調を示したが、材料費の高騰などによる収益性の悪化から厳しい事業環境下に陥り、事業の継続が困難となり今回の措置となった。
もともとは1億8,000万円あった売上が半分以下の6,480万円にまで落ち込んでしまっては完全に損益分岐点を下回るに違いない。飲食・小売業の売上高営業利益率は平均5%なので、百歩譲って黒字経営だとしても大まかな計算で年間利益が900万円から324万円に減る計算だ。これではやっていけまい。
「モンドセレクション金賞10年連続受賞」という虚構のラベルをつけても経営を改善することはできなかった。一つの重要な事実として飲食物はリピーターこそが大事なのだから一度は騙して買わせても2回目に繋げることができなければ業績は一向に改善しない。
業態の変更に向けた先行投資に失敗し、また負債が1億3,000万円あったことからキャッシュフローに行き詰まり、倒産を余儀なくされたものと思われる。
会社HPの記載によると市川商事の従業員数は25名。モンドセレクション金賞を10年連続で受賞している会社がなぜ倒産するに至ったのか。消費者としてはこの現実をしっかりと受け止めたい。審査が非常に緩く、金で買える賞に価値はない。
【追記】
モンドセレクションの不都合な真実をワールドビジネスサテライト(テレビ東京)が取り上げた。
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