「狩りに失敗したハシビロコウが八つ当たりしている様子が面白すぎる」はガセ
netgeek 2017年2月19日
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2万以上もリツイートされているが、これは果たして事実なのだろうか。
イライラしたハシビロコウが八つ当たりしている瞬間?よく観察してほしい。
驚いた鴨の表情がなんともユニーク。この写真はアメリカにあるサンディエゴ野生動物公園で撮られたもの。一見、ハシビロコウが鴨を攻撃しているように見えるが、実は水辺までの通路を塞いでいた鴨をどかせただけというのが真相だ。
ハシビロコウは何ら攻撃的なことはしておらず、イライラして八つ当たりしたという事実はない。
正確な情報として、海外のニュースサイト「mailOnline」に掲載された内容を紹介したい。
参考:Don’t forget to duck: Giant Shoebill picks up feathered friend after he blocks his path
「鴨がガアガアと鳴き始めたのを聞いてカバンからカメラを取り出し、撮り始めました。長年カメラマンをやっていますが、ここまで面白い写真が撮れたのは初めてです」
これらはサンディエゴ野生動物公園のカメラマン、マーク・カイ(51)によって撮影された写真だ。
普段じっとしていてあまり動かないハシビロコウがここまでアクティブに動くのは珍しい。
「ハシビロコウは鴨を移動させるとまた歩いて去っていきました。要するに攻撃したわけではなく、純粋に移動させただけなのです」
日本のネット上では「ストレスがたまったハシビロコウが他の鳥に八つ当たりしている瞬間」として拡散されているが、これは事実無根のデマ。一連の動作を目撃していたカメラマンは「ハシビロコウは非常に紳士的だった」と語る。
カリフォルニア・パロアルトにあるスタンフォード大学の教授(小児科と遺伝学が専門)はこれらの写真を授業の教材として使った。「1枚目の写真では鴨が食べられそうになっているように見えます。普通の人は考察して結論を導き出します。しかし、続けて写真を見ると移動させただけだという違う結論が出る」
ハシビロコウは巨大な魚などを食べるパワフルな生き物。
本気で攻撃するつもりなら鴨は致命傷を負っていたに違いない。にもかかわらず、鴨が無傷だったということは明らかに優しくくわえていたのだ。
日本のネットユーザーはまさしくスタンフォード大学の教授が指摘するように、誤った解釈をしてしまった。ハシビロコウは何も悪いことはしていない。