netgeek編集長が号泣しながら語る「バイラルメディアが儲からない7つの理由」
netgeek 2015年2月2日
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1.広告モデルでは稼げる金額に限界がある。
現状としてバイラルメディアのマネタイズ方法はクリック課金型の広告と成果報酬型の広告で、いわゆるアフィリエイトに頼っている状態だ。PV(ページビュー)が大きくなってくるとネイティブアド(記事広告)もマネタイズ方法に入ってくるが、いずれもそんなに儲からない。
それはすでに多くのバイラルメディアが撤退していったのを振り返れば明らかだろう。
【速報】サイバーエージェントのバイラルメディアOmorrowがサイト閉鎖を発表
【悲報】CyberAgentのバイラルメディアEQLAIRがわずか2ヶ月で閉鎖へ
トレンダーズ株式会社がいまどうがを閉鎖してバイラルメディアから完全撤退
バイラルメディアはゴミなんだよ!その証拠にほらもう15サイトも更新停止してる
上場企業、ベンチャー、個人運営問わず、いずれも数ヶ月で撤退しているところが多く、始めて即座に「このビジネスモデルは儲からない」と見切りをつけているのだ。これには後述する市場規模の小ささや過剰供給が関係している。
MERYとiemoを買収し新たにCAFYも開設したDeNAはバイラルメディアを物販と組み合わせることでメディア自体で儲けるというよりも宣伝媒体として活用していく方針をみせている。弁護士.comも同じで、サイトのPV自体はそれほど多くならなくてもいいから契約につなげることができればいいという姿勢だろう。
要するにチラシのような存在としてバイラルメディアの新たな活用方法が見出されてきたのだが、これもまだうまくいくかは不明だ。そもそも他事業と組み合わせるのはかなり難易度が高い。
2.ネタを見つけるのが超大変で無駄に時間がかかりまくる。
一見、新聞や雑誌に比べて軽めのテイストでつくられているバイラルメディアも、実はライターの立場からするとかなり大変。ネット上でバイラルするネタを探すのは相当時間がかかり、せっかく見つけても権利関係やら広告の規約の制限で記事にできないことが多々ある。
3.ちゃんとした文章を書ける人がいない。
ちゃんとした文章を書けるライターはそうそう雇えない。クラウドソーシングなんかで雇ったライターは能力も低く、必ずと言っていいほどゴミ記事をつくるので、次第にサイトの人気は衰えていく。かといってプロのライターを雇うと高額な報酬を支払わないといけなくなり赤字になる。
2ちゃんねるまとめのように、すでに面白いものがあってマニュアル通りに加工すれば誰でも簡単に面白い記事が生み出せる仕組みがあればいいのだが、現状ではそこまで記事作りの方法は確立していない。
4.そもそも日本の市場規模は極めて小さい。
どうして海外のバイラルメディアはうまくいっているのだろうか。最も大きな要因は英語の市場規模が大きいことにある。日本の人口1億3千万人に対して英語人口は17.5億人と、そこには桁が違うスケールの市場が開かれている。英語記事では一度バイラルすれば、国を超えて拡散するのに日本語記事はまず海外には拡散しない。英語圏のバイラルメディアは日本の17倍効率がいいのだ。いや、日本が1/17の効率しかないと言うべきか。
メーカーであれば海外進出して大きな市場規模があるところで製品を売るチャンスがあるが、メディアでは輸出もできまい。小さくまとまるしかないのだ。
5.参入障壁が低いため、ライバルがどんどん現れる。
2014年夏頃にあまりにも多くのバイラルメディアが開設され国内バイラルメディア市場は驚くほどの過剰供給っぷりになった。そのうちほとんどがすぐに撤退してしまったわけだが、今も17サイトほどは生き残っており、しのぎを削っている。大手、中小、個人と、バイラルメディアへの参入は今もちらほらと見られるので今後も過剰供給は解消されないだろう。
TwietrやFacebookで「しょっちゅうバイラルメディアがシェアされて流れてくるのがうざい」と言う人が多くなってきたことからも分かるように、もうみんなお腹一杯なのにどんどん料理がつくられている状態。こんな状態になったらもう儲かるわけがない。
6.そもそも日本には超強敵な2ちゃんねるまとめブログがある。
日本においては、バイラルメディアの最大のライバルは2ちゃんねるまとめブログだ。バイラルメディアがターゲット層の限られた時間を奪うには2ちゃんねるまとめブログに打ち勝たなければならない。だが、面白いスレが自動的に立てられ、他人のレスを勝手に使用することが許されたまとめブログは圧倒的に強い。記事をつくるスピード、更新数、面白さ、どれをとってもバイラルメディアに勝ち目はない。
日本に進出すると言われているBuzzFeedでさえ2ちゃんねるまとめブログからシェアを奪うのは難しいだろう。あえなく撤退するかもしれない。
7.最大のアクセス元であるFacebookのリーチがどんどん減っていく。
2014年に入ってから海外大手バイラルメディアのFacebookリーチが極端に落ちた事件をご存知だろうか。Facebookがアルゴリズムを変更して、わざとメディアの記事を流さないようにし、Upworthyなどの大手がPVを激減させたのだ。バイラルメディアのアクセス元は大体8割がFacebookで非常に危険な状態といえよう。
Facebook運営サイドとしてはバイラルメディアが増えた結果、ユーザーのフィードに流れるものがバイラルメディアばかりになってしまい、友人の投稿が見にくくなったのを危惧してのアルゴリズム変更だったという。すでに日本でも同じことは起きている。過剰供給は一度起きてしまえばコントロールするのが難しく、とにかくやっかいな問題なのだ。
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ということで、バイラルメディアは全く儲かるものではない。何か読者に伝えたいメッセージがあるという確固たる信念を持つ人を除いて、純粋に金目当ての人には他にもっと儲かる商売を探すことをオススメする。
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