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久美子社長率いる大塚家具が過去最大の赤字に陥った理由をブランドのリポジショニングという観点から説明する

腹BLACK 2016年6月8日
 

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経営権争いに勝利し、父親でありまた大塚家具の創業者でもある大塚勝久氏を追い出すことに成功した大塚久美子社長が今、過去最大の赤字に陥り苦境に立たされている。向かう方向性は正しいのだろうか。

大塚家具は6/3、最新の業績予想を発表し、2016年12月期が史上最悪の赤字になる見通しだと明かした。

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売上高の低下から営業利益はマイナス15億円、当期純利益はマイナス16億円となる見込み。久美子社長にバトンタッチした際にはこれで右肩下がりの業績に歯止めがかかると期待されていたものの、フタを開けてみれば散々たる結果だった。

世間の手のひら返しは早い。会員制にこだわった勝久氏を時代遅れとみた人も今では久美子社長の「誰でも気軽に入れる店舗づくり」という方針は間違っていたのかもしれないと疑い始めている。

▼大塚家具、過去5年の株価推移。2015年1月頃に株価が急上昇しているのは久美子社長が勝久氏に勝利した瞬間。その後、株価は高止まりしていたが、最新の悲観的な業績発表を受けて元の水準まで戻りつつある。

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▼他方でニトリの株価は絶好調。同じ過去5年の推移で見ると素晴らしいほどに右肩上がりが続いている。

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同じ市場環境に身を置く家具の小売店といえどもここまで差がつくのは珍しい。低価格で顧客の支持を得るニトリと高価格から中価格路線に転換した大塚家具はポジショニングこそ違えど、顧客は取り合っているといえる。事実、大塚家具の経営計画ではニトリ・IKEAの名前を明記し、「奪われたシェアを取り戻す」と宣言していた。

では今の大塚家具は何が間違っているのか。

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いや、結論を言えば決して間違っているわけではない。むしろその方向性は正しく、うまくいけば大きな市場規模のシェアを握って業績を伸ばすことさえできる。それでも経営成績と株価がついてこないのは一重にブランドのリポジショニングには時間がかかるからという事情が絡む。

経営者がブランドのポジショニングを転換しようとして値付けや商品を変えることはすぐにできても、消費者の頭の中にあるブランドイメージを変えるのには相当な時間がかかる。特に小売店であればイメージを刷新するには消費者に実際に店舗まで足を運んでもらい、体験してもらうことが必要不可欠。ほぼ全ての客を一周させるには最低でも数年はかかる。

久美子社長がやろうとしていることは大塚家具の高級路線を中価格帯に修正することだ。勝久氏が推し進めた入店時に個人情報を書かせ、担当者がついてまわって商品の説明をしながら購入を促すスタイルは、インターネットで情報が手に入る現代では時代遅れであることは間違いない。だからこそ勝久氏が経営していた時代の大塚家具の業績は右肩下がりで落ち始めていた。

久美子社長は正しい感覚でそれを否定し、誰でも気軽に入店し家具を見ることができる店舗づくりを目指した。価格は落とし、それでもニトリ・IKEAとは競合しないようにする。品質はよりいいものを提供する。この方針は決して間違っていない。ただ、この新しいブランドポジショニングが浸透するまでは非常に苦しい状態になる。

元の顧客は「質が落ちた」と考えるし、新しい顧客は品質の高さを見抜けずに直感で「ニトリ・IKEAのほうが安い」と感じてしまうからだ。大塚家具が提供する「それなりに高い品質の家具」というのは実際に使ってもらい、さらに評判が口コミやネット上で広まるまで待たなければならない。とにかくブランドのポジショニングを変えるには強固な財務を基に、社員一丸となって長期的視点に立ち、粘り強く経営することが必要不可欠となる。

ここでブランドのリポジショニングに失敗した例としてユニクロとマクドナルドの事例を挙げたい。

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もともとファストフード、ファストファッションとして勢力を拡大したユニクロとマクドナルドは、いつしかより高価格な路線に移ることで薄利多売から脱却しようとした。だが、結果は皆さんご存知の通りでマクドナルドは原田泳幸氏が社長を解任され、ユニクロの柳井正社長はメディアの取材に対して「値上げは失敗だった」と語った。二社が失敗した理由は、値段を釣り上げた割に商品の品質をあげることができなかったことにある。だから、なじみ客は「高くなった」と不満だけを抱くようになったのだ。

ただ、これらの事例に対して大塚家具が特異なのはブランドイメージを上げようとしているわけではなく、むしろ下げようとしている点だ。これはさほど難しいことではなく、実際に店舗を訪れた客が値札を見て「思っていたよりも安い」と思わせれば店側の勝ちといえる。

だから、大塚家具は短期的な業績不振を気にすることなく、痛みを伴う改革をどんどん進めていくべきだ。

▼久美子社長はそのことを理解しているようで、「山を登る」と表現している。

これからの大塚家具が顧客に提供すべきものをしっかりと社員に説明し、納得感を得ることが新しいブランドを浸透させるカギとなる。

注意すべきは、ブランドのリポジショニングの過程で絶対にやってはいけないことが2点あるということ。

(1)昔からの客の意見を聞くこと

(2)短期的な業績を気にして途中で方針を変えること

ポジショニングを変えるということはすなわちターゲットを変えるということである。今まで会社がやってきたことを全て忘れ、新設会社を経営する気持ちで突き進めば必ず結果は見えてくるはずだ。社内では異論を唱える反逆分子もいるだろうが、頑として耳をかすべきではない。

一部では勝久氏が創設した新会社「匠大塚」が強力なライバルになると分析している人もいる。本当にそうだろうか?

▼新聞折込チラシに同時に入っていた大塚家具と匠大塚のチラシ。

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出所: はま@cozy_hさん

超高級路線を歩む匠大塚は中価格帯を狙う大塚家具とは競合しないことは言うまでもない。久美子社長が目指している方向性は正しいのでしっかりと信じた道を突き進んでほしい。あとは絵に描いた戦略をどこまで実行できるかにかかっている。

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Comments (4)

  1. ジェンキン寿司 2016年6月8日 at 6:15 PM

    中価格帯は別ブランドでやるっていうのはどうだったんだろ

     
  2. 既存の顧客が今の大塚家具に行くと思えないから、顧客が一周するまでもなく、新規顧客をニトリやIKEAととりあわないと無理だろう。
    我が家も以前の大塚家具では200万近く購入しているけど、騒動の後は一度も足を運んでない。以前はたまに営業から手紙や電話が来てたけど、経営が変わってからは一度もない。
    誰が行くか?そんな店。

     
  3. 成果でる前に力尽きるんじゃね。
    どう転んでも悪印象ありきになるんだから、違うことやりたいならむしろ新会社とか立ち上げるべきだったんだよ。

    つーか、昔からのお得意様無視したらブランド価値消滅すると気付かないのかね。
    ブランドって、ファンが口コミで評判広げた結果でしょうよ。
    それが全てマイナスで書き換えられたらどうなるか、わかんないのかなー?

     

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