終戦時、台湾人の祖母が日本人同僚からもらった手紙には隠しメッセージが。70年越しに判明。
netgeek 2016年8月20日
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台湾人の祖母がとても大切にしている古い手紙。終戦時、国へ引き上げていく日本人同僚からもらったというその手紙を読ませてもらったところ、素敵な「横読みメッセージ」が隠されているのを発見した。「日台を結ぶ、70年越しのハートフルエピソードだ」と話題になっている。
祖母が「命の次に大切にしている」という写真とノート。それは戦時中、共に働いた日本人同僚たちとの思い出の品だった。
国を越え、深い信頼関係で結ばれていたことが分かる写真や手紙だ。戦争という惨禍の中にあっても、人間らしい交流が行われていたことに驚く。投稿主によると、日本へと引き上げていく際に送られた手紙には、台湾人の祖母へ向けた心温まるメッセージが溢れていた。
それぞれのキャラクターが想像される、杓子定規でない生きた言葉で文章がつづられている。戦争についての記憶が薄れゆくなか、これも一つの歴史なのだろう。
投稿主は手紙を読み進めていくうち、その一枚に「あるメッセージ」が隠されていることに気づく。
▼「縦読み」ならぬ「横読み」だ。最初の一文字を読んでいくと「春草(祖母の名)御元気で」となる。
祖母は今までこのメッセージに気づいていなかったという。70年越しにこの事実に気づいた時、どのような気持ちであっただろうか。この投稿に対し、Twitterでは「感動した」との声が多く上がった。
▼ちなみに、達筆すぎて文章がよく分からないという声に対し、全文を解読した方も。
ただ横読みになっているだけでなく、実に味わい深い文章だ。完成度が高いからこそ、横読みに気づかなかったのかもしれない。
なお、「そんなに昔から『縦読み・横読み』ってあったの?」という声も上がったが、実は1,000年以上前から「折句」と呼ばれる横読みは存在している。
伊勢物語の東下りの段に登場する和歌には次のようなものがある。
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ頭文字をとると「かきつはた」(カキツバタ)という花の名が折り込まれていることがわかる。
これは在原業平の句とされており、平安時代から「縦読み・横読み」は洒落た表現として使われてきたことが分かる。ネット上で流行るよりはるか昔から存在するのだ。
さて、日本は周辺国との軋轢に頭を悩ませることも多いが、今回は台湾との心温まるエピソードを知ることができた。台湾との間に問題が全くないわけではないものの、これからも前を向いて友好関係を発展させていければと願う。